4月14日(土)釧路市生涯学習センターにおいて、児童精神科医の田中康雄氏を招いて講演会が開催されました。主催は釧根地区ADHD・LD・PDD懇話会(む〜みん谷懇話会)。
む〜みん谷懇話会とは、今から11年前に発足した「発達障害への理解を深め、交流・情報交換を目的とする、親・教育・療育・医療・福祉等の関係者からなる会」です。
第1部は田中氏の講演『発達障害〜医療と教育の架け橋として〜』。
田中氏は北大での研究生活をこの3月に終了し、来月からは札幌で「こころとそだちのクリニック むすびめ」を開業することとなり、その開業前の忙しい時間をぬっての来釧でした。
開業前のお疲れからか体調を崩されていたにもかかわらず、これまでの臨床と研究の両方の経験から得られた「医療と教育の架け橋」としてのご自分の思いを2時間に渡り熱心に話してくださり、会場を埋めた300人の聴衆は、私も含め、彼の一言一言に耳を傾けました。
私が印象に残ったのは「発達障害があるのか?と医者をせめるけれども、あるっちゃあるし、ないっちゃない。う〜ん、よし、あることにしよう!と言ってすすめていくしかないこともある」とおっしゃったことです。そうですよね。分からないことは多いけれど、どのように考えたら子どもが生き易いか?辛くないのか?大事なのは、そのことですものね。
又、お話の最後に「小学校の先生は、一番大変な幼児期を支えてくれている幼稚園・保育園の先生方を誉めてほしい。中学校の先生は小学校の先生を。高校の先生は中学の先生を誉めてほしい。支援者も誉められることで成長し、また頑張ることができる。」と話してくださり、会場に多くいらした幼児期の関係者たちは胸が熱くなったのではないかと思いました。
それと「あっぱれ先生」ですね!
子どもが泣いて別れを悲しんだ、そういう先生が一人でも増えることを願わずにはいられませんでした。
第2部は「これからの特別支援教育の話をしよう」と題して、北海道教育大学釧路校の二宮信一先生との対談が行われました。
対談はぶっつけ本番。口火を切るのはじゃんけんで勝った方、とだけ打ち合わせしていたとか。
これが、歴史に残るお二人のじゃんけん風景。
勝ったのは康雄先生で、彼から始まり、医療と教育の役割の違い、医療に依存せず地方の学校がどのように特別支援教育を展開していったらいいのか?特別支援教育のこれまでの功罪・・・などなどについて熱いトークが繰り広げられました。
康雄先生は、医療の役割や特性から、特別支援教育に於いては、黒子に徹するのがいいと思うと。
しかし、どのように学校体制が整っても、手からこぼれる砂のように、いろんな子ども達が不安や不適応を起こし苦しむことは、おそらくなくなることはないと思われ、ご自身のクリニックでは、年齢を超えて子どもと丁寧に関わっていくことを目指しているとも話されていました。
二宮先生は、特別支援教育がスタートして多くの子ども達が救われた「功」の部分を認めつつ、安易にそれに頼り過ぎ、通常学級からそれらの子どもが排除されつつある現状の杞憂についてと、全ての通常学級で特別でない支援が普通に行われる授業作りが必要なのではないかと、熱くお話くださいました。
よ〜く聞いていると、違ったことを語っているようで、でもどっちが上でも下でもない、同じく大切で、根っこでは同じことなんだよ、ということを、改めて教えてくださる、お二人の対談でした。
私としては10年前、「堀口さん、子ども一人一人の問題も難しいんだけれど、もしかしたら彼らの困難さを作りだしているのは学校や社会かもしれないんだ。」と言って臨床を離れていった康雄先生自身の言葉を思い出し、そして今再び臨床に戻り、一人一人の子ども(成人も)と向き合おうとしていることを思うと、今回の講演会は、もしかしたら康雄先生の分岐点のまさにその時、歴史的瞬間だったのかもしれないと思ったのでした。
そして、私たちは、その証人になったのかもしれませんね。
田中康雄先生、本当〜にお忙しい中、約束を果たしてくださってありがとうございました。
他の講演会は、ほとんど断っているとお聞きしました。
新しいクリニックは5月8日オープンとのこと。
どうぞお身体大切に、時には休むことも考えて、ゆっくり走ってくださいませ。
そしてこれからも、多くの子ども達や青年たちを、どうぞよろしくお願いいたします。
この度は、本当にありがとうございました。(深謝)
